Vertical Address Scripting —宛名の縦書き—

Happy Halloween!Happy Halloween!

今年も10月となって、残す所あとわずかなんて台詞が聞こえてきますね。
そこで、年賀状シーズンへ向けたTipsを1つご紹介します。

MicrosoftのWordをはじめ、宛名印刷用のソフトウェアは非常に沢山あります。DirectSmileもバリアブル印刷用のソフトウェアですので、当然宛名印字も得意機能の1つです。

基本的には住所などの宛名表記をする際は、住所番号には漢数字を使用することが推奨・礼儀であるとされています。ですので、データベース上で漢数字への変更をされた場合には、縦組みテキストフレームへのバリアブル設定方法のみお読みください。
英数字を含む住所を縦組みにて表記されたいという場合は、このTipsに沿って設定を行なって下さい。

縦組みテキストフレームへのバリアブル設定

縦組みのテキストフレームは、Adobe InDesign(日本語版)の機能を使用します。
(アドビヘルプページからテキストフレームの組み方向変更方法紹介ページを参照)

はじめに、新規DSM ジョブを作成し、Adobe InDesign にて新規のドキュメントを作成して保存します。続けて任意のデータベースファイルを読み込ませます。

作業画面スクリーンショット

図1.DSM ジョブ、InDesign ドキュメントを作成し、データベースをインポートした状態

次にInDesign ドキュメントにテキストフレームを作成します。
この時、作成するテキストフレームを従来使用していた「横組み」のテキストフレームから、「縦組み」に変更します。

「縦組み」へ変更するには、InDesign のメニューバーからテキストフレーム設定のアイコンを2 秒ほどクリックし続けるとサブメニューが表示されます。表示されたメニューの中から「縦組み文字ツール」をクリックすると、テキストフレームが「縦組み」へと変更されます。

縦組み文字ツール
図2.「縦組み」への変更

縦組み文字ツール選択状態
図3.変更後のテキストフレームのアイコン

「縦組み」へ変更されたらInDesign ドキュメントにテキストフレームを作成します。

バリアブルテキストフレームの作成図4.縦組みのテキストフレームを作成

作成したテキストフレームにバリアブルタグを記入し、このテキストフレームをブリッジにバリアブル項目として登録します。
注意 : 登録の際に、「フレームのプロパティ」ウィンドウ下部のオプション「Adobe InDesign 出力」と「平体効果をかけられたフレームのプロパティを保存する」に必ずチェックを入れて登録します。この設定をしないと、出力したPDF で縦組みでのテキスト表示が出来ません。

Adobe InDesign出力オプション図5.バリアブルテキストフレームとして登録する

それではInDesign プレビューを確認してみましょう。

InDesignプレビュー図6.InDesign プレビュー

ご覧の様に、バリアブルテキストが縦組みで表示されています。
ただ半角の英数字は90 度右方向に回転して表示されています。これはInDesignの仕様が原因で、初期設定のままでは半角英数字が「縦組み」テキストフレーム内で縦ではなく、横に表示されてしまいます。

次にこの現象を回避するための方法をご紹介します。

「縦組み」フレーム内の半角英数字を縦に表示させる

Adobe InDesign の仕様では、縦組みフレーム内に記述された半角英数字は横に寝た状態で表示されます。これを回避するには、InDesign の機能から「縦中横」という機能を使用します。

ただし、この機能は設定したテキスト箇所全てが横になって表示されてしまうので、バリアブルテキストとして流し込まれるテキストの半角英数字のみに作用させることが出来ません。ですので、「縦中横」機能ではなく、「自動縦中横設定」を使用します。

自動縦中横設定は、「段落」メニューを表示させ、メニュー右上のオプション表示アイコンをクリックすると表示されるサブメニューから選択できます。

段落図7.段落メニューを表示させる(上部メニュー「書式」⇒「段落」)

自動縦中横設定図8.段落メニューから「自動縦中横設定」を選択

自動縦中横設定のウィンドウが表示されたら、「組数字」の桁数を設定します。
これは、連続する文字列として扱う桁数の設定です。
(例:「東京都世田谷区北沢1 – 23 – 456 – 7890」という住所が入力された場合に「3桁まで」と指定していたとすると、「1」と「23」と「456」は連続する文字列として認識されるので、それぞれ縦方向に表示されます。ですが「7890」は4 桁あるので、この制限をオーバーしていると認識され、横報告に「7890」と表示されます。)

組数字3桁まで
図9.自動縦中横設定ウィンドウ

それではプレビューを確認してみましょう。

自動縦中横設定を行ったあとのInDesign プレビュー図10.自動縦中横設定を行ったあとのInDesign プレビュー

設定が反映されましたが、表示結果は変わっていません。

これは、先ほどの自動縦中横設定にて、3 桁という制限を設けたことが主な原因です。というのは、この文字列に含まれる「-」(ハイフン)も含めてカウントされているので3桁をオーバーしていると認識されているためです。

これを回避するには、2 つ方法があります。1 つはデータベースファイルを変更する方法と、もう1 つはDSM のバリアブル割り当て設定で、ハイフンを別の文字列に置き換える方法です。

次に2 つ目のDSM のバリアブル割り当て設定を変更する方法をご紹介します。

まずは、現在の割り当てを編集するためにフィールドの割り当てを表示します。

バリアブル割り当て設定
図11.バリアブル割り当て設定を変更する

フィールドウィンドウ図12.フィールドウィンドウ

ここでは、データベースのレコード内の「-」の前後にスペースキーを入力し、半角英数をそれぞれ独立した文字列として認識させるように変更します。
タブメニューから「公式」を選択し編集を行います。また、このとき、フォーマットは「テキスト」に指定します。

ウィンドウ下の「機能」フォルダ以下のツリー表示メニューから「テキスト内の文字を置き換える」を選択します。

Replace 機能図13.Replace 機能を選択する

Replace(<Field>, “Find”, “ReplaceWith”)という公式が表示されます。
これは<Field>にデータベースの項目名を入れると、そこから“Find”で指定した文字を検索し、”ReplaceWith”に入力した文字列に置き換えるという機能です。

それでは以下のように設定します。

<Field>にはデータベースから住所が入った項目<address>を選択。
“Find”にはハイフン「-」を入力
“ReplaceWith”にはスペース、ハイフン、スペース「 – 」と入力

Replace関数

関数プレビュー図14.入力した結果

設定がおわったら、OK ボタンをクリックして割り当てを終了します。

それでは再度プレビューを確認します。

InDesign プレビュー2図16.InDesign プレビュー

ここでもまだ、未完成です。住所のラストにある「6C」という文字列だけが横に表示されています。これは「C」という文字が半角の英字であるため、「6C」という文字列だけが区別されて認識されているためです。

そこで、再度「自動縦中横設定」ウィンドウを開き、設定を変更します。

原因は以下の設定の中で「欧文も含める」にチェックが入っていなかった為です。
ですので、「欧文も含める」にチェックを入れます。

自動縦中横設定1
図17.自動縦中横設定の「欧文も含める」にチェックが入っていない

自動縦中横設定「欧文も含める」
図18.「欧文も含める」にチェックを入れる

それではInDesign プレビューを再確認します。

InDesign プレビュー3図19.InDesign プレビュー

今度は「6C」も問題なく表示できています。

ただしここでも更なる問題点が発生しました。ハイフンも横から縦に変更されています。
これはハイフンも欧文の文字のひとつなので、先ほどの設定の影響が現れているためです。

この問題は回避できないので、ハイフンを全角のものと置き換えます。
割り当てフィールドを再度開き、”ReplaceWith”で指定した文字列「 – 」を「―」(全ダッシュ)に変更します。

全角のダッシュ
図20.半角のハイフンを全角のダッシュに変更

これで最後にInDesign プレビューを確認します。

InDesign プレビュー4図21.InDesign プレビュー

すべての設定が終了し、縦書きの宛名表示ができました。最後にPDF 出力をしたあとの他のレコードの結果を確認します。

PDF 出力結果

以上のように3 桁までの文字列はひとかたまりで表示されます。
この方法を使用すれば宛名面での縦組みテキストフレームの使用が可能となります。

本来なら3年以上前に思いついた事なので、もっと早く皆様にお届け出来ればよかったのですが、色々あって今年まで引っ張ってしまいました。日本のお客様、長らくお待たせしました:-)

皆さんのお役に立てば幸いです。

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Transformation Grid — 変形グリッド —


アーティスト

今日はDSM-Setのデザインに関するTipsを取り上げます。

DirectSmileでは以下の3種類のフォントが使用出来ます。

      • システム・フォント
      • クリップ・フォント
      • ピクチャー・フォント

いずれのフォントを使用した場合でも、

      • テキストフレーム(赤線で表示されるフレーム)、
      • ピクセル変形グリッド(青線で表示されるグリッド)

が適用出来ます。

また、クリップ・フォントを使用した場合のみ、

      • クリップ変形グリッド(黄線で表示されるグリッド)

が使用可能になります。

今回のTipsはこれらのフレーム、グリッドの機能・違いについてです。
それでは実際のDSM-Setを使って説明しましょう。先ずは、DSM-Setを作成します。

  1. 背景画像を読み込む
  2. テキストフレームを描写する(初期設定でシステムフォントが選択されます)

始めにテキストフレームと、ピクセル変形グリッドの機能・役割についてご説明します。

テキストフレーム

テキストフレームの機能はとてもシンプルです。
フレームの大きさと表示されるテキストの大きさは連動しています。フレームを拡張すればそれだけ表示されるテキストのサイズが大きくなり、逆に縮小するとフレームの大きさに応じて表示されるテキストも小さくなります。

ピクセル変形グリッド

次にピクセル変形グリッドについて説明します。
*ピクセル変形グリッドを表示させるには、ウィンドウ左上のフレーム、グリッドボタンをクリックすることで表示出来ます。

ピクセル変形グリッドを使うと、表示するテキストを変形出来ます。フレームの四つ角、交差するポイントをドラッグしながら動かす事で、背景に合わせて画像を変形(歪める)する事が可能になります。
このフレームを使用すると、テキストのベクトルではなく、画像(フレームにて表示される部分)そのものを歪めるといった効果が得られます。

クリップ変形グリッド

最後にクリップフォント変形グリッドについて説明します。

先ほどと同様、背景を読み込み後テキストフレームを描写しました。フォント・タイプを「クリップ・フォント」に変更しました。
今回は用意したギャンブル用のチップコインをクリップとして使用します。


クリップ用変形グリッド(黄線のグリッド)を選択します。

すると、以下の様に初期設定のグリッドが表示されます。
ピクセル変形グリッドと同様に、グリッドの四つ角や交差ポイントをドラッグしながら動かす事で描写フレームを変形し、奥行きを出したり立体的にするなど描写が可能になります。

ここで、ピクセル変形グリッドと、クリップ変形グリッドの最大の違いをご紹介します。

  • ピクセル変形グリッドはフレーム画像自体に対しての歪みを表現します。
    また、レンダリングにより時間が掛かります。
  • クリップ変形グリッドはクリップフォントのベクトル(クリップを表示するためのパス)自体に対しての変形を行います。ですので、表示されるクリップ自体が変形の影響を受けて歪むわけではありません。つまり、クリップ画像自体は基本的に登録状態と同じ画像が配置されるという事になります。
    また、レンダリング時間はより短いです。

この違いは以下のサンプル画像がご理解頂きやすいかと思います。以下の2つのDSM-Setデザインは、それぞれのグリッドを使用して同様の変形を加えています。

では、より拡大して見てみましょう。

クリップフォントを使用したデザインの場合は、基本的なフレームに対する変形はクリップ変形グリッドで行い、奥行きや立体具合を追加したい場合に更にピクセル変形グリッドを使用して効果を追加するという方法が最適です。

これで出来上がりです!

これらの違いをご理解して頂いた上でデザインを行なって頂くと、よりリアルで処理に適したSetを作成して頂けるかと思います。

以上、今回のTipsでした:-)